容赦と了承の違い

普段、何げなく使用している日本語の中には似たようなニュアンスを持っている言葉も多数存在しています。

しかしその中には、使用している人が知らないだけで明確な違いがある言葉も少なくありません。

そのことを知らないまま何となく言葉を使用すると、時には相手に対して失礼にあたる場合もありますから注意が必要です。

そうした言葉のひとつとして、「容赦」と「了承」を挙げることができます。

どちらの言葉も、相手に対して何かを頼む時に、そしてこちらの言い分を聞き入れて欲しい時に使用する言葉です。

このふたつの間に違いなんて存在しているのかと思われる方も多いかもしれませんが、それはそれぞれの意味を見ていくと理解できます。

目次

こちら側に非があるか、事情があるのか

まず容赦ですが、こちらには『相手を許す』とか、『大目に見る』と言う意味があります。また『手加減する』『控え目にする』と言う意味もあります。

これに対して了承は、『相手の申し出や事情などを納得して承知する』つまり『聞き入れる』と言う意味があります。

容赦が『相手を許す』『相手に対して手加減する』またはそれらを求めると言う意味を持っているのに対して、了承は『相手の事情に納得を示す』そして『言い分を聞き入れる』またはそうしたことを求めると言う意味を持っているのですから、これだけでもその違いは明確です。

よってこちら側が誰かに対して、あるいは誰かが自分に対して『ご容赦下さい』と言った、言ってきた場合には、自分の言い分を聞き入れる云々以前に、『自分のことを許して下さい、これ以上はどうか手加減して下さい』と言う色合いがあると言うことです。

ですから、こちら側に明らかな非がある、落ち度があると言う場合に使う言葉だと判断できます。

また実際に非や落ち度は発生していないけれど、万が一、それらが発生してしまった場合のこともふまえた上で、この言葉を使用することも考えられます。

対して『ご了承下さい』と言った、言われた場合には、色々と思うところはあるかと思いますが、『どうかこちらの事情に納得したうえで言い分を聞き入れて下さい』と言う色合いがあると言えます。

非や落ち度と言うよりも、天候やマニュアル、規則と言った様々なやむを得ない事情があった上で使用する言葉だと判断できます。

相手に対して失礼が無いよう、最大限の気配りを見せるようにと、容赦と言う言葉を使いたくなるのは理解できます。

しかしその言葉を使用しているからには、自分で自分の非や落ち度があると認めていると言う意味合いもあるわけです。

ですから、本当に自分に落ち度があったと認められる事情に対してのみ使うべきであり、それ以外はやはり、相手に対しても一定の理解を求める了承を使用した方が賢明です。

違いポイントまとめ

  • 容赦は『相手を許す』『相手に対して手加減する』またはそれらを求めると言う意味。
  • 了承は『相手の申し出や事情などを納得して承知する』つまり『聞き入れる』と言う意味。

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